リビングが暗いのは窓のせいじゃない?|光の“まわり方”で整える設計
- Category:設計・間取り・収納
はじめに
「南向きに大きな窓をつければ、リビングは明るくなる」
家づくりの最初に、こう考える方は少なくありません。ところが実際は、窓の大きさ=明るさとは限らず、住んでから「思ったより暗い」と感じるケースも起こります。国の調査でも、住まいの不満項目として「居間など主たる居住室の採光」が挙げられています。
では、リビングの明るさは何で決まるのか。答えはシンプルで、光が入ったあとに、部屋の中でどう巡るか(まわり方)です。
窓際だけが明るく、部屋の奥が沈む。逆に、直射日光が少なくても、壁や天井に光が当たって“面で明るい”。この差をつくるのが「光のルート設計」です。
「明るい」の正体は、光の“量”より“広がり方”
部屋の明るさは、目に入る光の総量だけでなく、明暗のバランスで決まります。
たとえば、
- ・ 窓の近くは眩しいのに、ソファ側が暗い
- ・ 日中でも、部屋の中心が影になっている
- ・ カーテンを開けたいのに、視線が気になって閉めがち
こうした状態は「窓が足りない」よりも、光が奥へ届くルートが途切れているサインです。家族が集まる場所ほど、光が“奥までまわる”設計が効いてきます。
リビングが暗くなる原因は「窓の数」ではなく“光のルート”にある
設計段階で暗さが起きやすいポイントは、だいたい次の5つに集約できます。
1)光の入口が「一方向」に偏っている
窓が大きくても、入口が一か所・一方向だと、光は窓際で止まりやすくなります。
高さの違う窓(高い窓+低い窓)や、別方向の窓を組み合わせると、光が“広がるきっかけ”が増えます。
2)光を受け止める面が足りない(反射できない)
光は床・壁・天井に当たり、反射して奥へ届きます。
ところが、梁が多い・凹凸が強い・濃い色が多い・壁が少ないなどで、光が受け止められないと、拡散しません。
ここで重要なのは「白くすればいい」ではなく、光を返す面(天井・壁)を設計として確保することです。
3)視線問題で「閉じる前提」になっている
採光計画とプライバシー計画が別々だと、最後にカーテンで全部を解決することになり、昼でも閉め切りがちになります。
つまり、暗さの原因が窓ではなく、“外から見える不安”にあることも多いのです。
4)周辺環境で光が削られている
隣家・塀・カーポート・深い軒、さらに将来的な建て替え。
外部条件の影響が大きい敷地ほど、南面の大開口に頼るより、上から入れる(高窓・天窓)/内側から入れる(中庭)発想が安定します。
5)「明るい場所」が生活動線とズレている
子どもが遊ぶ位置、食事をする位置、在宅ワークの位置。
光が一番欲しい場所に光が落ちていないと、体感として“暗い家”になります。これは窓の面積より、家具配置も含めた間取りの最終形で決まります。
光の“まわり方”を整える設計のコツ
ここからは、家づくりで再現性の高い「整え方」を整理します。
コツ1|窓は「大きさ」より“高さのミックス”
光を奥へ運ぶのに効くのは、窓の“高さ”です。
高い位置から入った光は、天井に当たり、反射して部屋の奥まで伸びやすくなります。逆に低い窓は、外とのつながりや景色をつくりやすくなります。この2つを混ぜるだけで、リビングは「窓際だけ明るい」から抜けやすくなります。
コツ2|光の当て先を先に決める

「どこを明るくしたいか」を、家具が入った状態で想像します。
- ダイニングテーブルの面
- 子どもが遊ぶ床面
- ソファ背面の壁面(ここが暗いと“沈む”)
当て先が決まると、窓の位置・大きさが“理由のある配置”になります。
コツ3|“内側の光源”を持つ(中庭・坪庭)
天井は最大の反射板です。
天井面が暗くならない構成(区切りすぎない、過度な段差をつくらない)にすると、光が広がりやすくなります。
また、壁は“明るさの面”になります。リビング奥に「光を受ける壁」を残すと、窓際の明るさが奥へ“まわる”ようになります。
コツ4|「開けたい窓」を先に決めて、視線計画とセットにする

採光が効くのは、窓があることより 開けられることです。
窓のサイズや位置と同時に、
-
どこから見られるか(道路・隣家・玄関アプローチ)
-
どの高さなら視線が入らないか
-
外構(塀・植栽)で視線を切れるか
を決めます。ここが決まると、カーテン頼みにならず、昼の光を使えるリビングになります。
打ち合わせで確認したい「採光の質問」チェック
図面を見て不安なときは、次の質問が役に立ちます。
- Q1.「朝・昼・夕方で、どこに光が落ちますか?」
→ 窓際だけ明るい設計を避ける - Q2.「光を当てたい“面”はどこですか?」
→ 天井/壁/床のどれを狙っているか - Q3.「カーテンを閉めたくなる要因はありませんか?」
→ 視線・道路・隣家 - Q4.「将来、隣に家が建つとどうなりますか?」
→ 最悪条件でも暗くならないか - Q5.「家具を置いた後も、光の通り道は残りますか?」
→ 生活形まで含めた検討
まとめ|リビングの明るさは「窓」ではなく“光のルート”で決まる
リビングが暗いかどうかは、窓の面積だけで決まりません。
どこから入って、どこに当たり、どう巡って、どこが明るく感じるか。
この「光のまわり方」を設計で整えると、敷地条件が厳しくても、落ち着きと明るさを両立しやすくなります。
いちいホームでは
もし今、すでに図面があり「このままだとリビングが暗くなりそう」「窓はあるのに奥まで光が届くか分からない」と感じているなら、いちいホームの『セカンドプラン(無料)』で“光のルート”まで含めて整理して見直すことができます。今の案を否定せず、良さを残しながら暮らしに寄り添う形へリデザインします。

