column 家づくりコラム

造作家具で空間に統一感が出る理由|素材・ライン・金物の設計ポイント

はじめに

 

家づくりを考え始めると、間取りや性能とあわせて気になってくるのが「空間の雰囲気」です。
SNSや施工写真を見ていて、「なんだかこの家はすっきり見える」「家具をたくさん置いていないのに整って見える」と感じることはないでしょうか。

その違いをつくる要素のひとつが、造作家具です。造作家具とは、家に合わせてつくる“置く家具”ではなく、住まいの一部として計画する家具のこと。

ただし、造作家具の魅力は「サイズがぴったり合う」ことだけではありません。最大の魅力は、空間全体の統一感をつくりやすいことです。

この記事では、なぜ造作家具を取り入れると家全体が整って見えるのかを解説します。

 

 

造作家具は「家具」ではなく「空間の一部」として考える

 

既製品の家具は、家ができてから選びます。一方で造作家具は、家の設計と同時に考えます。

この違いはとても大きく、既製品はどうしても「あとから置いたもの」になりやすいのに対し、造作家具は壁・床・天井とのつながりを前提に計画できます。だから、空間の中で浮きにくく、最初からそこにあるべきものとして自然になじみます。いちいホームの施工事例でも、白を基調にした内装の中に造作家具を取り入れたり、造作カウンターキッチンを中心に動線まで含めて計画したりすることで、住まい全体にまとまりをつくっています。

たとえば、テレビボードだけが立派でも、床の色味と合っていなければそこだけ目立ちます。
収納が多くても、線の高さがバラバラだと雑然として見えます。
取っ手の印象が強すぎると、細かなところで“ノイズ”になります。

造作家具は、こうした小さなズレを最初から減らせるのが特徴です。

 

 

統一感をつくる1|素材をそろえる

 

空間の印象を大きく左右するのが、素材です。

同じ「木っぽい家具」でも、床はやわらかい木目、収納は濃い木目、ドアは赤みのある木目、とバラバラになると、家全体が少し落ち着かなく見えます。反対に、床・建具・カウンター・収納の素材感が近いと、それだけで空間に一体感が生まれます。

ここで大切なのは、まったく同じ材料にすることではありません。色味、木目の出方、つやの強さ、触れたときの印象を近づけることです。素材をそろえると、次のような効果があります。
 

・視線が散りにくくなる

人は無意識に、色や質感の違いが大きい場所に目を向けます。素材がそろうと余計な引っかかりが減り、部屋全体をすっきり感じやすくなります。

 

・置くものが多少増えても散らかって見えにくい

背景が整っていると、生活用品があっても空間の芯がぶれません。とくに子育て前後の暮らしでは、物が増えやすい時期があります。だからこそ、収納そのものの素材感が整っているかは大切です。

 

 

統一感をつくる2|ラインをそろえる

 

もうひとつ見逃せないのが、ラインです。
ここでいうラインとは、家具の高さや横のつながり、扉の割り方、棚の位置など、目に見えるのことです。

 

・キッチンのカウンターと背面収納の高さがそろっている
・窓の下端とデスク天板のラインがそろっている
・壁面収納の扉の割り方が、室内ドアや窓のバランスと合っている

 

こうした状態だと、空間に規則性が生まれます。

人は、線がそろっている空間を見ると「整っている」と感じやすくなります。反対に、少しずつ高さがズレたり、家具ごとにボリューム感が違ったりすると、どれも悪くないのに全体ではまとまらなくなります。

つまり、造作家具は収納を増やすだけではなく、空間に秩序をつくる役割も持っています。

 

 

統一感をつくる3|金物をそろえる

 

素材や形に比べると見落としやすいのが、金物です。
ここでいう金物は、取っ手、つまみ、丁番、引き出しレールなどの細かな部品を指します。この細部が空間の印象を意外と左右します。

たとえば、キッチンは黒い細い取っ手、洗面は丸いつまみ、収納はシルバーの大きなハンドル、とバラバラだと、部分ごとの主張が強くなります。反対に、取っ手の有無、色、形の考え方をそろえると、視界に入る情報量が減り、空間が静かに見えます。

最近は、手掛けで開けるタイプや、取っ手を目立たせない納まりも人気ですが、大事なのは“流行っているから”ではなく、その家全体に合っているかです。やわらかい雰囲気の家にシャープすぎる金物を入れると少し緊張感が出ますし、逆にモダンな空間に装飾的なつまみを入れると、そこだけ印象が変わります。

 

 

造作家具で統一感を出しやすい場所

 

家全体をすべて造作にしなくても、効果が出やすい場所があります。

 

キッチンまわり

背面収納、カップボード、カウンターがそろうと、暮らしの中心が整って見えます。

 

洗面まわり

既製品だとサイズや収納量が合いにくい場所ですが、造作なら幅やミラー、収納の取り方まで空間に合わせやすく、生活感を抑えながら整えられます。

 

リビングのTVボードや壁面収納

リビングは家族が長く過ごし、目にも入りやすい空間です。配線が見えにくいこと、物の置き場が決まること、床や壁とつながって見えることが、すっきりした印象につながります。

 

 

造作家具で失敗しないために考えたいこと

 

造作家具は魅力的ですが、何でも造作にすれば良いわけではありません。

失敗を防ぐためには、次の視点が重要です。

 

✓「何をしまうか」を先に決めること

見た目だけで棚や引き出しを決めると、使いにくさが残ります。食器、家電、書類、タオルなど、入れる物が決まると必要な奥行きや高さが見えてきます。

 

✓「どう見せたいか」より先に「どう暮らしたいか」を考えること

朝の支度をラクにしたいのか、掃除をしやすくしたいのか、物を隠したいのか。目的がはっきりすると、開き戸がいいのか引き出しがいいのか、見せる棚が必要なのかも判断しやすくなります。

 

✓ 施工事例で「全体の雰囲気」を見ること

造作家具は単体で見るより、床・壁・照明・窓との関係で見たほうが参考になります。統一感は、一か所のデザインではなく、家全体の積み重ねで生まれるからです。

 

 

まとめ

 

造作家具で空間に統一感が出るのは、単におしゃれだからではありません。素材をそろえやすく、ラインを整えやすく、金物まで含めて細部の印象をつなげられるからです。

そしてもうひとつ大切なのは、造作家具が家そのものと一緒に考えられることです。家具だけを選ぶのではなく、光の入り方、動線、収納の仕方、掃除のしやすさまで含めて計画することで、見た目と暮らしやすさが無理なく両立しやすくなります。

 

いちいホームでは
「造作家具に憧れるけれど、どこまで取り入れるべきかわからない」
「空間を整えて見せたいけれど、何をそろえればいいのかわからない」
そんな方に向けて、暮らし方から逆算したご提案を行っています。

家づくりで“なんとなく好き”と感じる空間には、素材・ライン・金物のつながりがあります。まずは施工事例を見ながら、ご自身の暮らしに合う整え方を探してみてください。

 
 

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