column 家づくりコラム

住宅街でもカーテンレスに近づける|視線を切る“中庭”設計の基本

 

はじめに

 

せっかく大きな窓を設けたのに、朝から晩までレースカーテンを閉めっぱなし——。
住宅街で家づくりを検討するとき、多くの方が「窓をつけても結局カーテンで塞ぐなら意味がないのでは」という不安を抱えています。

特に子育て中のご家庭では、リビングで遊ぶ子どもの姿が外から丸見えになったり、洗濯物を干す姿が道路から見えてしまったりするストレスは想像以上に大きいものです。

本記事では、住宅街という環境でも”カーテンレスに近い暮らし”を実現するための中庭設計の考え方を解説します。
視線を遮りながらも光と風を取り込み、家族がのびのび過ごせる住まいのヒントをお届けします。

 

 

なぜ住宅街では「視線」がストレスになるのか

 

住宅密集地では、隣家との距離が2〜3m程度というケースも珍しくありません。
南側に道路がある土地では、通行人や車からの視線がリビングに入りやすくなります。

視線ストレスが生まれやすい条件として、以下のような状況が挙げられます。

 

  • 前面道路の交通量が多く、歩行者や自転車がひっきりなしに通る
  • 隣家の2階窓がこちらのリビングを見下ろす位置にある
  • 南向きの大開口を設けたら、正面が隣家の玄関だった

 

こうした環境でカーテンを開けっぱなしにするのは現実的ではありません。
しかし、窓を小さくすれば室内は暗くなり、せっかくの注文住宅が「閉じた箱」のような印象になってしまいます。

この矛盾を解決するのが、「外に閉じて内に開く」という中庭の発想です。

 

 

中庭で視線を切る基本の考え方

 

中庭とは、建物の内側に設けた屋外空間のこと。
L字型・コの字型・ロの字型など、建物で囲む形状によって視線の遮り方が変わります。

 

外壁を”盾”にして視線をブロック

住宅街で視線を切る基本は、道路側や隣家側の外壁を閉じ、中庭に向かって開口を設けること。
道路から見ると窓が少なくスッキリした外観になり、中庭側には大きな窓を配置できます。

この設計なら、リビングの掃き出し窓を全開にしても外からは見えません。
子どもが裸足で走り回っても、洗濯物を干していても、視線を気にせず過ごせる空間が生まれます。

 

建物形状と視線カットの関係

形状 視線カット力 敷地への適応 特徴
L字型  狭小地でも採用しやすい  二方向から囲い、開放感とプライバシーのバランスが良い
コの字型  30坪以上の敷地向き  三方向から囲み、LDKとの一体感を出しやすい
ロの字型 ◎◎  40坪以上の敷地向き  四方から囲む完全プライベート空間

 

 

「カーテンレス」を実現する5つの設計ポイント

 

1. 窓の高さと向きで視線をコントロール

 

中庭に面した窓は床から天井まで大きく取り、採光と開放感を最大化します。
一方、道路側や隣家側には窓を極力設けないか、設ける場合は以下の工夫を取り入れます。

  • ハイサイド窓(天井近くの横長窓):光は入るが視線は届かない
  • 地窓(床に近い位置の窓):足元から光を取り込み、立った状態では中が見えにくい
  • 型ガラス・すりガラス:光を通しながら視界をぼかす 

 

2. 軒・庇・袖壁で”上からの視線”を遮る

住宅街では、隣家の2階やマンションの上階から見下ろされる可能性があります。
深めの軒や庇を設けると、斜め上からの視線をカットしながら夏の直射日光も防げて一石二鳥です。

軒の出は90cm以上を確保すると、視線カットと日射遮蔽の両方で効果を実感しやすくなります。

 

3. 外構とセットで計画する

中庭だけでなく、外構との連携も重要です。
道路側にはルーバーフェンスや植栽を配置し、建物に到達する前に視線を「にじませる」設計が効果的。
完全に塞ぐのではなく、光と風は通しながら視線だけを遮る素材を選びましょう。

常緑樹と落葉樹を組み合わせると、一年を通じて適度な目隠し効果が維持できます。

 

4. 室内干しスペースと中庭を近接させる

共働き世帯にとって、洗濯物を外に干すタイミングは限られます。
中庭に面したランドリールームを設ければ、室内干しでも明るく風通しの良い環境を確保できます。
天気の良い休日は中庭のウッドデッキで外干しする、という使い分けも可能です。

 

5. 夜の照明計画で”見せない”を徹底

日中は外が明るいため室内は見えにくくなりますが、夜は逆転します。照明で室内が明るくなると、窓が外から見える”ショーウィンドウ”状態になることも。

中庭に向けた間接照明や、室内の調光機能付きダウンライトを活用すれば、外への光漏れを抑えながら心地よい空間をつくれます。

 

 

子育て世帯に中庭がもたらすメリット

子育て世帯をイメージすると、中庭の価値はさらに明確になります。

 

見守りながら家事ができる

キッチンから中庭が見える配置にすれば、料理をしながら子どもの外遊びを見守れます。
リビングと中庭がフラットにつながっていれば、室内でも屋外でも目が届きやすく、「ちょっと待って」と声をかけるだけで安全を確保できます。

 

プール遊び・砂遊びも気兼ねなく

夏場のビニールプールや砂遊びは、道路に面した庭では近隣の目が気になりがち。
中庭なら水着姿も見られず、子どもたちがのびのび遊べます。汚れたらそのまま浴室へ直行できる動線を組めば、片付けもスムーズです。

 

在宅ワーク中の気分転換にも

リビングの一角で在宅ワークをするとき、カーテンを閉め切った暗い部屋では集中力が続きません。
中庭に面したスペースなら、カーテンを開けて自然光を浴びながら仕事ができます。視線を気にせず窓を開けられるので、換気をしながらリフレッシュも可能です。

 

 

注意したい設計のポイント

 

中庭を設ける際は、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

 

排水計画は最優先

中庭は建物に囲まれているため、水の逃げ道を確保しないと大雨時に水が溜まります。排水勾配・集水桝・オーバーフロー経路を設計段階で計画し、ゲリラ豪雨にも対応できる仕様にしておくことが重要です。

 

断熱・気密性能が快適さを左右する

中庭に面した大開口は、窓の性能次第で夏の暑さ・冬の寒さに直結します。断熱等級や窓の仕様を高めることで、大きな窓を設けても温熱環境を崩さずに済みます。

いちいホームでは、UA値0.46(HEAT20 G2相当)を基準とし、C値0.5以下の気密性能を全棟で実測。大開口や中庭を安心して取り入れられる性能の土台があるからこそ、カーテンレスに近い開放的な暮らしが実現できます。

 

建築コストは形状に比例する

コの字やロの字は外壁面積が増えるため、シンプルな箱型住宅に比べてコストがかかる傾向があります。
ただし、カーテン代・ブラインド代が抑えられること、光熱費の削減効果、そして何より「毎日カーテンを開けられる暮らし」の価値を考えると、長期的な投資としてとらえることもできます。

 

 

まとめ|視線を切れば、暮らしが開く

住宅街でカーテンレスに近い暮らしを実現するには、「外に閉じて内に開く」中庭の発想が有効です。
道路側・隣家側を外壁で閉じ、中庭に向けて大きく開くことで、視線を遮りながら光と風を取り込めます。

 

  • 建物形状(L字・コの字・ロの字)を敷地と周辺環境に合わせて選ぶ
  • 窓の高さ・向き・素材で道路側の視線をコントロール
  • 軒・庇・袖壁で上からの視線を遮る
  • 排水計画と断熱・気密性能を設計段階で確保する

 

子どもたちがのびのび遊び、洗濯物を気兼ねなく干し、在宅ワーク中も自然光を浴びながら過ごせる——そんな暮らしは、中庭設計の工夫で手が届きます。

 

いちいホームでは

「光・風・緑をまとう」設計思想のもと、高崎市・前橋市・安中市・藤岡市など群馬県中南部エリアで注文住宅を手がけています。

設計士が直接ヒアリングを行い、敷地の形状・周辺環境・隣家の窓位置まで読み込んだうえで、視線を遮りながら光と風を取り込むプランをご提案。
自社大工が高気密・高断熱の施工を一棟ずつ丁寧に仕上げるため、図面の意図が現場でズレることなく実現します。

本社スタジオ(高崎市八幡町)やモデルハウスでは、中庭を活かした間取りの実例を体感いただけます。
「カーテンを開けっぱなしで暮らしたい」というご要望、ぜひお聞かせください。

 

 

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