中庭のある家が都市型住宅に最適な理由
- Category:設計・間取り・収納
道路や隣家との距離が近い都市部で、「明るさ」「風通し」「プライバシー」「安心感」を同時に満たすのは簡単ではありません。
そこで注目されるのが中庭。家の内側に小さな外をつくることで、視線を気にせず空と緑を楽しみ、家事も子育てもラクにする——。
本記事では、高崎市をはじめとする群馬県中南部の街なか敷地を想定しながら、「中庭のある家」が都市型住宅に最適な理由と、成功のポイント・注意点をまとめました。

なぜ都市型住宅に「中庭」が効くのか
1|光を“横から”取り込める
周囲を建物に囲まれがちな都市部では、南面が十分に開けないことも。中庭があると、家の中央に窓を向けられるため、奥の部屋までやわらかな自然光が届きます。カーテンを閉めっぱなしにせずに済むので、日中の照明使用も減らせます。
2|風の通り道をつくれる
外壁が一面しかない間取りは風が抜けにくくなりがち。中庭に面して窓を2方向以上に計画すれば、“入る風”と“抜ける風”を設計で作れます。群馬特有の冬のからっ風にも配慮しつつ、夏は熱を逃がす“上抜き”計画で体感温度を心地よく。
3|視線を遮りながら開放感
塀や壁・建物で囲われた中庭は外から見えにくいプライベート外空間。道路側の大開口を避けても、家の内側に開くことでのびやかな抜けを得られます。人通りの多い通りや旗竿地でも、視線ストレスを減らして暮らせます。
4|子ども&ペットに“目が届く外”
中庭は囲われた“安全な外”。リビングやキッチンから目が届きやすく、小さなお子さまやペットの外遊びも安心。水遊び・プール・砂遊びも近隣に気兼ねなく楽しめます。
5|家事動線が短くなる
ランドリールームと中庭を近接させれば、洗う→干す→取り込む→しまうが一直線。屋根付きやシェードを合わせれば、天候に左右されにくい物干し計画も叶います。
高崎エリア(群馬)の敷地事情と中庭の相性
・狭小・変形・旗竿地:間口が狭くても中庭で採光・通風の“窓面”を確保。
・前面道路の交通量・通行人の視線:道路側は小さな窓+中庭側に大開口で防犯と明るさを両立。
・気候特徴:夏は日射が強く、冬は乾いた北風。夏は日陰をつくり、冬は光を入れる落葉樹や庇・シェード計画が有効です。
いちいホームでは
周辺建物の高さ・窓位置・通行量まで含めて敷地を読み、季節ごとの日当たりと風の抜け方を前提にプランを描きます。
中庭の基本タイプと向き合い方
・L字型:二辺が建物に接する軽やかなタイプ。狭小地や変形地でも採用しやすい。
・コの字型:三方向を囲い、プライバシーと開放感のバランスが良い。LDKと相性抜群。
・ロの字型:四方を囲う完全プライベート。音や視線をしっかり遮りたい場合に。排水・通風計画は入念に。
・町家(通り庭)型:細長い敷地の途中で光井戸のように光と風を落とす。都市の奥行きに効く設計。
どの型でも「何に使う中庭か」を先に決めると、サイズ・床仕上げ・設備の正解が見えてきます。
都市型中庭のメリット(暮らし別)
採光・通風
・昼間の照明が減るやわらかな反射光
・風の性格(夏の南風・冬の北風)に合わせた窓位置で、自然換気の効率化
プライバシー・防犯
・道路側は小窓+中庭側に大開口で侵入経路を管理しやすい
・遮るのは塀ではなく建物の配置。景観にもやさしい
家事・子育て
・ランドリー×中庭×ファミクロで動線が最短
・視線管理のしやすい安心な外遊び
くつろぎ・趣味
・朝食テラス/夜の星見/家庭菜園/キャンプごっこ…家時間が外に広がる
・音が外に抜けすぎないのでギターやプロジェクターも楽しみやすい
省エネ・健康
・日射取得と日射遮蔽をコントロールしやすい
・室内干しでもにおいがこもりにくい換気動線が取りやすい
中庭のデメリットと対策
1|居住面積が減る/コストが上がる
建物が凸型になり外壁面積が増えるため、材料費・施工手間が増えがち。
対策①「中庭で何をするか」を絞り必要最小限のサイズに。
②収納や家事動線を中庭に沿わせ無駄な廊下を減らす。
③仕様の“足し引き”で予算配分を最適化(床仕上げはメンテ容易なタイル等に集約)。
2|湿気・排水・汚れ
ロの字などは風が滞りやすい。落ち葉や砂で排水口が詰まる懸念も。
対策①排水勾配・清掃口・オーバーフロー経路を設計段階で確保。
②開ける窓を対角に配置し、上部ハイサイドで上抜き。
③床は水はけ良いタイルや樹脂デッキ+掃除のしやすい目地計画。
3|断熱・結露
大開口は窓性能で体感が変わる。
対策①断熱等級・サッシ性能・ガラス仕様を暮らしに合わせて選択。
②軒・庇・シェードで夏季の日射を外側で遮る。
4|動線が遠回りになる
中庭を囲むL・コ・ロの字は、部屋間の最短距離が伸びやすく、廊下が増えて家事や子育ての往復にロスが出がち。
対策①回遊動線を“ショートカットが生まれる形”で計画(キッチン⇄洗面⇄物干し⇄ファミクロを直列に/中庭へ勝手口を設ける)
②移動の多い部屋同士は中庭の対角を避けて近接(LDK—階段—洗面—玄関を近づける)
③引戸中心で開閉ロスを減らし、通路は収納と兼用して“歩く価値”を上げる
失敗しないための設計チェックリスト
1. 目的を一言で:「眺める/遊ぶ/干す/育てる/集う」
2. 必要寸法の目安:椅子+通路を想定し、体感で“広さを借りられる”奥行を確保(※敷地により最適解は変わります)。
3. 方位と高さ:周辺建物の高さ・距離を把握。冬至の午後に日が入るか、夏の直射をどう和らげるか。
4. 窓の開き方:引違い・縦すべり・FIXの役割分担と網戸計画。
5. 床仕上げ:
・タイル…メンテ容易・水に強い・外構費のコントロールがしやすい
・ウッド/樹脂デッキ…素足で気持ち良い・小上がり感
・砂利・緑化…吸音・景色に奥行、ただし雑草対策を
6. 設備:外部コンセント/水栓/照明/物干し金物は最初に配置。夜も使える“灯りの設計”を。
7. 雨対策:軒・庇・シェード・パーゴラで雨天や猛暑日も快適に。
8. メンテ設計:掃除道具の置き場・ホースの届き・掃き出し段差の納まりまで事前に。
9. 音とにおい:バーベキュー等の使用ルールと、近隣への配慮(換気の排気口位置も要検討)。
10. 将来対応:子どもの成長後はグリーン・ベンチ・物干しなど、用途替えできる下地を仕込む。
4人家族・都市型の間取りイメージ
・玄関:視線カットの壁越しに中庭の緑がチラ見え。帰宅のたびにほっとする演出。
・LDK:中庭に開く大開口。ダイニングとフラットにつながるタイルテラスは朝食や在宅ワークの気分転換に。
・キッチン背面:パントリー→ランドリールーム→中庭(物干し)→ファミクロの一直線。
・2階:吹抜越しに中庭を見下ろすスタディコーナー。室内干し用ホスクリーンで天候リスクを回避。
・夜:足元照明+シンボルツリーのアップライト。窓に映る緑がやさしい。
ポイント
「中庭を通る動線が、暮らしの最短路になる」こと。眺めるだけの“飾りの庭”にしない設計がコツです。
いちいホームだからできる、中庭計画の“安心”
・設計士と直接つくる注文住宅
要望の整理からプラン・素材・予算配分まで、設計士が一貫して伴走。中庭で“何をしたいか”を言葉にし、面積と仕様の最適解を探ります。
・地元・高崎に根差した敷地リサーチ
周辺の建築状況や道路形状、季節風の抜け方まで地場の感覚で読み解き。視線・騒音・日陰を踏まえ、中庭の場所・形・高さを決めます。
・性能を前提にした開口設計
断熱・気密・換気を土台に、大開口でも快適さを崩さない窓計画。庇・シェード・植栽まで含めて、夏も冬も過ごしやすく。
・自社大工施工の細やかさ
雨仕舞い・排水・段差納まりなど、中庭の要所は“現場力”が命。自社施工の強みで、図面の意図を仕上がりに正確に反映します。
・家事ラクの回遊動線
都市型敷地でもランドリールーム×中庭の最短動線、パントリー直結など、日々の“歩数の少なさ”を設計します。
よくある質問
Q. 雨の日でも使えますか?
A. 軒・庇・シェードを組み合わせれば半屋外リビングとして活躍。タイル床ならモップ掛けでサッと乾きます。
Q. 風の強い日は大丈夫?
A. 開口部の位置と高さで風の逃げ道を作ります。シェードは着脱式や巻取り式で耐風性を確保。
Q. 防犯は?
A. 道路側は開口を最小限+中庭側を広く。死角にはセンサー照明、窓は戸先施錠・合わせガラスなどで対策します。
Q. 掃除が大変そう…
A. 排水勾配・清掃口・外部水栓・コンセントをあらかじめ。タイルや樹脂デッキなら泥汚れもデッキブラシで簡単です。
Q. 予算が心配
A. 面積をコンパクトにまとめ、“使う場所にだけ”良い素材を集中。別の仕様を引き算して、全体予算内で中庭を残す方法もあります。
まとめ|“家の内側に外をつくる”という最適解
都市部の限られた敷地でも、中庭があれば光と風、くつろぎと安心、そして家事ラクまで手に入ります。
重要なのは、目的を明確にすることと、敷地と気候を読み切った設計、そして現場での納まりの精度。
いちいホームは高崎の気候と街並みを知り尽くした視点で、設計士が直接ご家族の暮らしに寄り添い、“ちょうどいい”中庭をご提案します。
「わが家の中庭、何を叶えたい?」
その一言から、一緒に形にしていきましょう。見学・相談は事前予約でゆっくりご案内できます。お気軽にご相談ください。

