「ちょうどいい距離感」の家|家族がラクになる“居場所の数”
- Category:暮らしとスタイルの工夫

はじめに|“仲がいいのに、なぜか疲れる”の正体
家族の仲はいい。でも夕方になると、なんとなくイライラする。
リビングで子どもがゲーム、夫がスマホ、自分は片付け──同じ空間にいるのに、誰もくつろげていない気がする。
この“ちょっとした疲れ”の正体は、性格でも愛情でもなく、家の中にある居場所の数にあります。
広いLDKを一つ作るより、小さな居場所をいくつか散らす方が、家族の距離はかえってちょうどよくなるケースも。
本記事は、注文住宅を考える方に向け、家族がラクになる“居場所の数”という視点で間取りを読み解きます。
“居場所”って何?|部屋とは違う、もう一段細かい単位
ここでいう居場所は、ドアで仕切られた部屋ではなく、5〜10分ぼんやりできる小さなスポットのこと。
たとえばこんなイメージです。
・キッチン横の腰かけられるカウンター
・階段下の本棚つきベンチ
・リビングの一角の畳コーナー
・寝室入口の読書ニッチ
・中庭に面したデッキの椅子1脚
広さは1〜2帖でも、家族それぞれに「ここは自分の場所」と感じられる手がかりがあれば、立派な居場所として機能します。
家族の“ちょうどいい”居場所の数
たとえば、4人家族なら5〜7か所の居場所があると、距離感が一気に楽になります。
内訳の目安はこのとおりです。
| 種類 | 数の目安 | 例 |
| 全員が集まる場所 | 1か所 | LDK、ダイニング |
| 親が一人になれる場所 | 1〜2か所 | キッチン奥のミニ書斎、寝室手前のヌック |
| 子どもが集中できる場所 | 1〜2か所 | スタディカウンター、子ども部屋、和コーナー |
| 半屋外でぼーっとできる場所 | 1か所 | 中庭デッキ、軒下ベンチ |
| すれ違える通路兼用スペース | 1か所 | 回遊動線上のニッチ |
ポイントは“同時に使える”こと。一人がリビング、もう一人が階段下、子どもは2階ホール、というように分散できれば、テレビ音や話し声がぶつからず、家族が同じ家にいながら別々のリズムで過ごせます。
なぜ“数”が距離感をつくるのか

居場所が一つだと、家族はそこに集中するか、個室に逃げ込むかの二択になります。
中間がないと、「ちょっと一人になりたい」という気持ちが、「個室にこもる」という極端な行動になってしまうのです。
小さな居場所が複数あると、選択肢が増えます。
・10分だけ一人で休みたい→中庭デッキへ
・家族の気配は感じたい→リビング横のベンチへ
・集中して作業したい→階段ホールのカウンターへ
つまり“距離感はゼロか100か”ではなく、20%・50%・80%と、グラデーションで選べるようになる。これが家族がラクになる本質です。
お母さんの居場所を設計する
打ち合わせでよくあるのが、子どもの勉強コーナーや夫の書斎は計画されているのに、お母さんの居場所だけ抜けているケース。
キッチンが私の居場所、と思いがちですが、キッチンは作業場所であって、くつろぐ場所ではありません。
おすすめは、家事動線の途中に1帖の“私の止まり木”を仕込むこと。
・キッチン背面に幅90cmのカウンターと一脚の椅子
・洗面横に小窓つきの読書ニッチ
・寝室手前の廊下にベンチと観葉植物
1帖あれば、コーヒーカップ、本、スマホ、化粧ポーチくらいは置けます。
家事の合間に2分座る、それだけで一日の体感が大きく変わるはずです。
居場所を増やす5つのテクニック
居場所は、面積を増やさなくても作れます。鍵は“境界のつくり方”です。
1. 床の段差をつける

リビングの一角を15〜20cm上げて畳コーナーにすると、座ったときの視線の高さが変わり、別空間として感じられます。
段差の側面を引き出し収納にすれば、おもちゃや座布団の定位置にもなり一石二鳥。
“上がる”という小さな動作が、気分の切り替えスイッチとして働きます。
2. 一部だけ吹き抜けにして光を落とす
LDKの一角だけを吹き抜けにして上から光を落とすと、その真下が自然と特別な場所になります。
ハイサイド窓と組み合わせれば、室内の明るさが安定するのが利点。
同じ床面積でも“ここに座りたい”と感じる引力が生まれます。
3. 窓辺にベンチを造作する

出窓や腰窓の下に幅120cm程度のベンチを造作するだけで、立派な居場所に変わります。
クッションを置けば読書スポットに、観葉植物を並べれば飾り棚としても活躍。
外の景色という“もう一つの壁紙”が、ここだけの空気をつくります。
4. 素材と色で気分を切り替える
床材や壁紙の一面だけ変えると、足を踏み入れた瞬間に“別の部屋に来た”感覚が起こります。
LDKがフローリングなら、コーナーだけ畳やコルクに切り替えるのもおすすめ。
アクセントクロスを一面だけ濃いトーンにすると、視覚的な“こもり感”がぐっと増します。
5. 風の通り道に椅子を置く

心地よい南北の風が抜ける場所を設計段階で見極め、そこに椅子1脚分の余白を残しておきます。
風が抜ける場所は、夏の夕方に自然と人が集まる特等席になりやすいもの。
性能で守られた家だからこそ、自然の風そのものを居場所に変えられます。
性能が支える、小さな居場所の心地よさ
廊下や階段の途中に椅子を置いても、寒い・暑い・うるさいでは誰も座りません。
小さな居場所が機能するかどうかは、家全体の温熱環境にかかっています。
いちいホームでは、UA値0.46(HEAT20 G2準拠)、C値0.35〜0.5を全棟で実測。
家じゅうの温度ムラが小さいから、リビングから3歩離れた階段ホールでも、玄関のベンチでも、同じ快適さで過ごせます。
性能の数値は地味に見えますが、“居場所の数を増やせる土台”として、設計の自由度を直接押し上げてくれる存在です。
ライフステージで“居場所”は変わる
居場所の使い方は、家族の成長に合わせて入れ替わります。
・乳幼児期:リビング畳コーナー=お昼寝場所、見守り場所
・小学生期:スタディカウンター=宿題、母の家計タイム
・中高生期:2階ホール=友達とのオンライン通話、自室の前室
・親世代:中庭デッキ=朝のコーヒー、夫婦の語らい
最初から多用途を意識して下地(コンセント、可動棚、照明)を仕込んでおくと、家具を入れ替えるだけで居場所の役割が変わり、20年後も新鮮に住めます。
よくある質問
Q. 居場所が増えると、掃除が大変になりませんか?
A. 一つひとつが小さく造作で固定されていれば、家具を動かす必要がなく、むしろ片付けはラクになります。物の定位置が決まる効果も大きいです。
Q. 狭い敷地でも7か所つくれますか?
A. 30坪台の総二階でも工夫次第で可能です。廊下や階段ホールを“ただの通路”で終わらせない設計が鍵になります。
Q. 子どもが大きくなって個室に入ったら、リビングの居場所は無駄になりませんか?
A. 親世代の趣味スペースや、孫が来たときの遊び場として活躍します。可変性のある下地を入れておくのがコツです。
まとめ|“近すぎず、遠すぎず”は数で叶う
ちょうどいい距離感は、広さでも個室の数でもなく、小さな居場所がいくつ散りばめられているかで決まります。
家族それぞれが、自分のペースで“ここにいる”を選べる家。
それは設計士との対話と、性能に裏打ちされた快適さがあって、はじめて完成します。
いちいホームでは
いちいホームでは建築士が直接ヒアリングし、朝の身支度から夜の寝かしつけまでを30分刻みでシミュレーション。
そして、棚の高さ・ベンチの奥行き・カウンターの幅まで、現場でミリ単位の調整を行います。
図面の意図を仕上がりに落とし込む“ちょうどよさ”は、ここで生まれます。
高崎市をはじめ、前橋市・藤岡市・富岡市・安中市・渋川市で、「家族の距離感をどうつくるか」に迷ったら、まず完成見学会や無料相談会で、ご家族の一日を一緒に書き出してみませんか。
