造作とは?群馬の設計事務所が実例写真で解説|造作家具・造作収納の種類と費用の考え方
- Category:設計・間取り・収納
はじめに
家づくりを調べていると出てくる「造作(ぞうさく)」という言葉。
造作とは、既製品を買って置くのではなく、大工が現場で、その家の寸法や暮らしに合わせてつくる家具・収納・建具などのことです。
この記事では、群馬・高崎の設計事務所「いちいホーム」(一級建築士事務所)が、自社大工が実際につくってきた造作の実例写真とあわせて、造作の意味、つくれるものの種類、費用の考え方、後悔しないためのポイントまでを、まとめて解説します。
この記事でわかること・造作の意味と、既製品との違い ・造作でつくれるもの(実例写真つき) ・メリットと、正直なデメリット ・費用の考え方と、後悔しないための3つのポイント |
1. 造作とは?――30秒でわかる基本
造作とは、建物の構造(柱や梁など)とは別に、室内の使い勝手やデザインを高めるために大工が行う工事のことです。造作でつくった家具は「造作家具」、収納は「造作収納」と呼ばれます。
いちばん分かりやすいのは、既製品との違いで考えることです。
| 造作 | 既製品(置き家具) | |
| サイズ | 空間にミリ単位でぴったり | 規格サイズから選ぶ |
| デザイン | 床・建具と素材をそろえられる | 部屋ごとに質感が混ざりやすい |
| 使い勝手 | 暮らしに合わせて自由に設計 | 機能は商品に合わせる |
| 地震のとき | 壁に固定され転倒しにくい | 転倒防止の対策が必要 |
| 費用 | 内容により幅がある | 比較的読みやすい |
どちらが良い・悪いではなく、「ここぞという場所に造作を使う」のが、心地よい住まいづくりのコツです。造作の特徴をひとことで言えば、「美しい」と「機能的」を同時に叶えられること。
見た目が空間に溶け込んで美しいだけでなく、使う人の動きに合わせて機能まで設計できる——ここが、置き家具との一番の違いです。では実際に、造作でどんなものがつくれるのか。私たちの施工事例から見ていきましょう。
2. 造作でつくれるもの――いちいホームの実例から
造作収納(壁面収納・畳スペース下の収納)

空間を無駄なく使えるのが造作収納の真骨頂。畳スペースの下やテレビまわりの壁面など、「デッドスペースになりがちな場所」がそのまま収納になります。しまう物の量と場所を打ち合わせで決めてからつくるので、暮らし始めてから「収納が足りない」が起こりにくくなります。
| ▶ 施工事例「遊と光の家」(群馬県安中市) ――スキップフロアの畳コーナーなど、遊び心と収納を両立した住まいです |
造作カウンター(スタディカウンター・ワークスペース)

子どもの勉強や在宅ワークには、市販のデスクを置くより、壁から壁までぴったり渡したカウンターが活躍します。奥行きや高さも、使う人・使い方に合わせて1cm単位で調整できます。
| ▶ 施工事例「中庭のある家」(群馬県前橋市) ――四季の光と風を感じる空間に、暮らしに寄り添う造作を施しました |
造作洗面台

造作の人気が特に高い場所です。ボウル・水栓・タイル・鏡・照明を自由に組み合わせて、わが家だけの一台に。たとえば幅を広めにとれば、朝の忙しい時間にお子様と2人並んで身支度ができます。すぐそばに洗濯をたたむ・干すスペースをあわせて計画すれば、「洗う→干す→たたむ」がひとつながりになり、毎日の家事がぐっとやりやすくなります。美しさと家事のしやすさを一度に設計できる、造作らしさが最も出る場所です。
| ▶ 施工事例「静けさとぬくもりが調和する家」(群馬県高崎市) ――素材のトーンをそろえた、静かでぬくもりのある水まわりです |
造作棚・ニッチ(飾り棚)

「飾る場所」「ちょい置きの場所」を最初から設計に組み込めるのも造作ならでは。玄関のスリッパニッチのように、小さな造作ひとつで毎日の使い勝手が変わります。
| ▶施工事例「光・風・緑に包まれて暮らす、ウチとソトを紡ぐ家」(群馬県高崎市) ――通り土間からガーデンへ、光と風を感じる住まいの造作です |
テレビボード

床から浮かせたフロート型にすればお掃除ロボットも通れて、配線も壁の中にすっきり。リビングの主役の壁が、生活感なく整います。
| ▶ 施工事例「光の移ろいを愉しむ家」(群馬県前橋市) ――夕方の光の移ろいが美しいリビングに、すっきりと納めました |
ダイニングテーブル

キッチンと同じ素材・同じ高さでつくるダイニングテーブルは、配膳も片づけも最短距離。空間に統一感が生まれ、LDK全体がひとつの家具のようにまとまります。
| ▶ 施工事例「庭とつながる開放的な暮らしを愉しむ家」(群馬県高崎市) ――大きな窓から自然光が差し込む、明るく心地よいLDKです |
階段・その他(造作デスク・室内窓など)

階段や手すり、室内窓、ホールのデスクなども造作の領域です。たとえば「余白のある暮らし」では、花火が見える2階ホールに、読書やリモートワークができる造作デスクを設けました。「なくてはならないもの」を「その家の見せ場」に変え、暮らしの中に“選べる時間と場所”をつくれるのが、大工仕事の面白さです。
| ▶ 施工事例「余白のある暮らし」(群馬県高崎市) ――家族で季節を楽しむ“共有の余白空間”のある住まいです |
3. 造作のメリットと、正直なデメリット
◎ メリット
・「美しい」と「機能的」を同時に設計できる
・空間にぴったり収まり、デッドスペースが生まれない
・床や建具と素材をそろえられ、空間に統一感が出る
・使う人・使い方に合わせて寸法や機能を細かく調整できる
・壁に固定するため、地震の際に転倒しにくい
・家と一緒に年を重ね、長く使うほど愛着が深まる
✕ デメリット(正直にお伝えします)
・既製品より費用が上がる場合がある(内容によります)
・あとから位置を動かせない(だからこそ設計段階の打ち合わせが大切)
・打ち合わせの時間がその分必要になる
デメリットは、裏を返せば「設計段階でどれだけ暮らしを具体的に考えられるか」の話です。ここが、次の費用の考え方にもつながります。
4. 造作の費用は、どう考えればいい?
「造作はいくらですか?」というご質問をよくいただきますが、正直なところ、大きさ・素材・内容によって幅があるため、一律の金額はお伝えできません。ただ、考え方には整理の仕方があります。
✓ 既製品との比較は「本体価格」だけでなく、設置・固定・寿命・空間効率まで含めて考える
✓ すべてを造作にする必要はない。「毎日使う場所」「空間の主役になる場所」から優先する
✓ 同じ造作でも、素材の選び方で費用は調整できる(設計士にご相談ください)
いちいホームでは、ご予算の中で「どこに造作を使うと暮らしが一番良くなるか」を、設計士が一緒に優先順位から考えます。
5. 後悔しないための3つのポイント
①「モノ」ではなく「動線」から考える
「かっこいい棚が欲しい」ではなく、「帰ってきて、鞄をどこに置いて、上着をどこに掛けるか」。暮らしの動きから逆算すると、本当に必要な造作が見えてきます。
② 全部を造作にしない
将来買い替えたい家具、模様替えを楽しみたい場所は、あえて既製品に。メリハリをつけることで、費用も暮らしの自由度も整います。
③ 設計と大工がつながっている会社を選ぶ
造作の仕上がりは、設計の意図が現場へ正確に伝わるかで決まります。設計と施工が分業だと、図面の細かなニュアンスが抜け落ちてしまうことがあります。
6. いちいホームの造作――設計士と自社大工が、同じチームだから
いちいホームでは、設計士がお客様の暮らしを直接伺い、その意図を受け取った自社の大工が現場でかたちにします。考える人とつくる人が同じチームだから、ミリ単位の納まりや素材の表情まで、丁寧につくり込むことができます。

この記事でご紹介した造作は、すべて実際のお住まいでつくってきたものです。「うちの場合はどんな造作ができる?」という段階のご相談も歓迎です。
まとめ
造作とは、大工が現場で暮らしに合わせてつくる家具・収納・建具のこと。空間にぴったり収まり、統一感と使いやすさが生まれる一方で、設計段階の打ち合わせが仕上がりを左右します。
後編では、具体的な造作の事例と、暮らしを豊かにするポイントをさらに詳しくご紹介しています。
