10年後も快適に暮らすための「断熱・気密・換気」の基礎知識
- Category:住宅性能・構造
はじめに|“いま気持ちいい家”より“10年後も気持ちいい家”へ

家の居心地は断熱・気密・換気の「三位一体」で決まります。
夏は猛暑・冬は底冷えという気温差が大きい高崎エリアでは、リビングだけでなく廊下・洗面・寝室まで温度差が少ないことが、家族の暮らしやすさと健康を支えます。
さらに2025年4月からは、すべての新築に省エネ基準適合(断熱等級4相当)が義務化。性能は“あれば良い”ではなく“備えるべき前提”になりました。
本記事は、はじめて家づくりを考えるご家族にも分かり易く「断熱・気密・換気の基礎」を整理しています。
高崎周辺の気候に合わせた現実的な目標値や、10年先まで効くメンテのコツ、そしていちいホームの取り組みまでまとめました。
1|まずは基礎知識
断熱=「魔法瓶のように熱を逃がさない」仕組み
家の壁・屋根・床・窓など“外に触れる面”から熱が逃げにくいほど、夏は涼しく、冬はあたたかい。
断熱の指標はUA値(外皮平均熱貫流率)。数字が小さいほど断熱性が高いと覚えてください。
気密=「すき間風を減らす」仕組み
家のすき間が小さいほど、計画どおりに空気が動き、冷暖房の効きが良くなります。
気密の指標はC値(相当隙間面積)。数字が小さいほどすき間が少ない状態です。
換気=「新鮮な空気を計画的に入れ替える」仕組み
高気密の家ほど計画換気が重要。日本では24時間換気の設置が原則で、方式は大きく3種類(第1種・第2種・第3種)。それぞれの向き不向きがあり、家のつくり・地域・暮らし方で選びます。
2|高崎・前橋エリアに合う“ちょうどよい”性能目安
高崎市の地域区分
断熱の考え方は地域の寒さ・暑さで変わります。高崎市の多くの地域は「6地域」(旧倉渕は「4地域」)。地域区分に応じて国の基準UA値(等級4)や上位水準が決まります。
具体的な目安(“とりあえずこれだけ”)
・国の最低ライン(等級4):6地域のUA値0.87以下
・ZEH水準(等級5の目安):6地域のUA値0.60以下
・体感重視の民間目安 HEAT20
◦G1:6地域のUA値0.56
◦G2:6地域のUA値0.46
◦G3:6地域のUA値0.26
“数字が小さいほど良い”ですが、家計・デザイン・土地条件のバランスで着地点を選ぶのが現実的。
家族の体感として満足度が高いラインは G2(UA0.46)前後が一つの目安です。
POINT
2025年4月からは等級4(省エネ基準)適合が新築で必須。一方で、国はZEH水準以上の普及も後押ししており、今後は上位等級の選択がより一般的になっていきます。
3|三位一体で考えると「暮らし」が変わる
断熱だけ上げてもダメ、気密だけ高くてもダメ
・断熱↑ × 気密↓ … 壁は暖かいのにすき間風で台無し。
・気密↑ × 換気↓ … 空気がこもって結露やニオイの原因。
・断熱↑ × 気密↑ × 換気↑ … 温度ムラが少なく、空気もきれい。
家族が実感する“ラク”
・夏の帰宅時、玄関を開けた瞬間のむわっと感が少ない
・冬の朝、洗面やトイレのヒヤッとが弱い
・室内干しが乾きやすくニオイにくい(換気と温湿度の相乗効果)
4|工法・パーツの選び方(やさしく要点だけ)

壁・屋根・床(断熱材)
素材ごとに長所短所はあります。重要なのは「すき間なく入れる施工」と「湿気の扱い」。
雨仕舞・通気層・防湿層の考え方が適切であれば、素材のポテンシャルは素直に出ます。
窓(=家の“穴”対策)
窓は熱の出入りの最大ポイント。樹脂サッシ×Low-E複層(or トリプル)で一気に底上げできます。
面積・向き・庇や軒との組み合わせで、夏は日射を切り、冬は取り込む設計が効きます。
気密の肝
コンセントまわり、配管・配線の貫通部、サッシ周り、天井・床の取り合い。
図面の段階で“穴になりそうな所”を洗い出すのが成功のコツです。
C値は実測が基本。完成後に測って数字で確認しましょう。
換気方式の選択
・第1種(給気・排気とも機械):熱交換で省エネ・快適性が高い
・第3種(給気は自然・排気は機械):シンプルでコスト節約
いずれも計画・設計・施工・お手入れがセットで大切。日本では原則24時間換気の設置と所要風量が求められます。
5|高崎の気候と“設計のコツ”
・夏:日射が強い → 窓の向き×庇・袖壁で直射をカット。
・冬:北風・放射冷却 → 窓の性能+気流感を抑えるレイアウト。
・年間:からっ風の日も多い → 通風の“入口と出口”を決めて風道を設計。
敷地の風・光のクセは同じ市内でも違うため、土地を見立てる設計が効きます。
6|いちいホームの取り組み(自然に“おすすめ”な理由)
UA値0.46で「10年後も快適でお得」
いちいホームはUA値0.46(6地域でHEAT20 G2相当の目安)を標準水準に、県内トップクラスの断熱性能を掲げています。
窓はオール樹脂フレーム+Low-E複層ガラスを標準採用し、熱の出入りを抑えます。
C値0.5以下を約束、平均0.35の超高気密
気密測定を実施。完成時の平均C値0.35、0.5以下を約束する運用で、エネルギーロスを抑えます。
気密が高いほど空調・換気が計画通りに働く—これが“数値以上の体感差”につながります。
気密は空気だけでなく水蒸気を遮断することがさらに大切。水蒸気を遮断することにより室内の湿度もコントロールしやすくなり、壁体内結露のリスクも減らせます。
自社大工による丁寧な断熱・気密施工
高性能グラスウールを自社大工が施工。断熱材は“入れるだけ”では性能が出ません。
現場での納まりと管理が結果を左右します。設計〜施工が近い距離にあることで、品質のブレを抑制します。
地中熱×計画換気(DSDD)で空気まで心地よく
地中熱を活用した24時間換気を採用。
排気熱の熱回収と外気の温度・湿度の平準化で、夏も冬も過ごしやすい空気を保ちます。
いちいホームだから
設計士が直接対話し、土地の風と光を見立てる設計×数値で裏づける性能×自社大工の丁寧な実装。
「注文住宅の強み」を性能と住み心地に変える体制です。
7|コストの考え方:建築費より“総額(10年)”
高性能は初期費用が上がりやすい側面がありますが、冷暖房の効きが良くなる=日々の光熱費が下がるため、10年スパンの総額で見ると暮らしの負担を軽くする選択になり得ます。国もZEH水準以上の普及を後押ししており、中長期的に“性能の底上げ”が家の価値になります。
8|10年先まで効く「お手入れ&使い方」リスト

毎月~3ヶ月に一度
・換気フィルター清掃/交換:目詰まりは風量低下→結露リスク。
・レンジフード・浴室換気のホコリ除去:家全体の換気バランスが整う。
季節ごと(春・秋)
・窓まわりのゴム・パッキン点検:気密の要。劣化や浮きをチェック。
・庇・ルーバーの角度・簾(すだれ)など日射遮蔽の見直し:季節角度に合わせ最適化。
年1回
・屋根・外壁の目視点検(ひび・シーリング割れ・雨樋の詰まり)
・床下・天井点検口からの結露痕チェック:早期対処が寿命を伸ばす。
・気密測定のデータ&換気計画書の保管:模様替えやリフォーム時の判断基準に。
やってはいけない例
冬に“寒いから”と24時間換気をOFFにする → 結露・カビ・ニオイの原因。基本は通年ONが原則です。
9|よくある質問(高崎エリア編)
Q.「石油ストーブ」は使えますか?
A. 高気密住宅での開放型(室内で燃焼させ排気を室内へ戻す)使用は推奨しません。
水蒸気の大量発生による結露や一酸化炭素リスクがあるため、エアコンやFF式(屋外排気)などをご検討ください。(個別事情は設計者へご相談を)
Q. トリプルガラスは必須?
A. 敷地・方位・窓の大きさで最適解が変わります。大開口の北面や吹き抜け併用などでは効果大。
費用対効果は設計段階でシミュレーションを。
Q. UAやCって、どのくらいを目指せば?
A. 高崎市の6地域なら、体感の満足度とコストのバランスはUA0.46(HEAT20 G2)前後が一つの目安。
C値は0.5以下を“当たり前”に。いちいホームは平均0.35です。
10|“注文住宅だからできる”——いちいホームの家づくり
・設計士と直接つくる:ご家族の生活リズム・家事動線・将来の暮らしまで話し込み、性能×間取り×素材の最適解を一緒に探します。
・性能とデザインの両立:窓を減らして数値だけ上げるのではなく、光と風と緑を活かし、毎日の気持ちよさを設計。
・自社大工施工:断熱・気密は“図面通り”に現場で実装できて初めて性能。自社チームで誤差を抑え、品質を積み上げます。
まとめ|“家族の未来基準”で、三位一体の家づくりを
・断熱で「逃がさない」
・気密で「漏らさない」
・換気で「澄ませる」
この三つが揃うと、温度ムラが少なく、空気がきれいで、光熱費にもやさしい暮らしになります。
高崎の気候・敷地条件・ご家族の暮らし方に合わせて、UA・C・換気方式を“あなたの家庭の答え”に調整するのが、注文住宅の価値。10年後も気持ちよく暮らすための基礎は、今の設計・施工・使い方の積み重ねです。
まずは体感から
モデルハウスで室内の空気感・温湿度の安定・静けさを体感いただくと、言葉以上に“違い”が分かります。
無料相談会では、土地の風と光の読み解きからUA・Cの目標設定、ご予算内での最適解まで丁寧にご提案します。
いちいホームは、「高崎の光・風・緑をまとう暮らし」を、数字で裏づけ、設計で体感に変える会社です。ご家族の10年後まで見据えた家づくり、ご相談ください。