気密性能を比較|建売住宅と注文住宅のC値の違い
- Category:住宅性能・構造
家の「すき間」を表すC値(相当隙間面積)は、冷暖房の効き・結露の起こりにくさ・音の入りにくさに直結します。とくに高崎エリアは、夏の猛暑×冬の乾いた冷えという振れ幅が大きい地域。だからこそ断熱(UA値)×気密(C値)×換気の三位一体設計が効きます。
本記事では、C値の基礎から、建売住宅と注文住宅でC値がどう違ってくるのか、さらに注文住宅だからできる“数値と体感の両立”まで、わかりやすく解説。最後にいちいホームの取り組みもまとめます。
C値ってなに?——家じゅうの「すき間」を数字で可視化

1分でわかるC値
・C値(cm²/m²)=家全体のすき間の合計(cm²)÷延べ床面積(m²)。
・数字が小さいほど高気密=すき間が少なく、空調が効きやすく、結露も抑えやすい。
・イメージ:延床100m²(約30坪)の家で
◦C=1.0 → すき間合計100cm²(10cm×10cm相当)
◦C=0.5 → 50cm²(約7cm×7cm)
この差が、到達の早さ(設定温度までの時間)や保ちやすさ、静けさまで左右します。
どう測る?(ブロワードア試験の考え方)
家を仮に密閉し、専用ファンで室内の空気を抜いて外から入り込む空気量を測定。
漏れている箇所の合算=すき間面積を推定します。
おすすめは“2回測定”
1. 施工途中(断熱・気密層ができた段階)→その場で是正できる
2. 完成時→引き渡し品質の記録として残せる
高崎の四季で見る「C値が効く」理由
・夏:外の熱と湿気が入りにくく、エアコンがスッと効いて保ちやすい。
・冬:すき間風が減るので、廊下・洗面・トイレなどの底冷えが穏やか。
・通年:騒音やにおいの侵入を抑えやすく、内部結露のリスクも低減。
・花粉・PM2.5期:計画換気+フィルターで、窓を開けなくても空気を入れ替えやすい。
建売住宅と注文住宅のC値は何が違う?

ここでは善し悪しの断定ではなく、“性質の違い”として整理します。
① 企画思想と自由度の違い
・建売住宅:多棟を一定の仕様と工期で均一に仕上げる発想。C値は仕様書で一定レベルに揃える設計が中心。
・注文住宅:敷地・間取り・窓計画を一邸ごとに最適化。目標C値を最初に共有し、プランとディテールをC値起点で詰めやすい。
② 測定の扱いと“現場で直す”余地
・建売住宅:C値は法定の必須表示ではないため、測定の有無や開示方法は事業者ごと。現場ごとの**是正余地(途中測定→補修)**は設計上限との兼ね合いで限られることも。
・注文住宅:施工途中→完成時の2回測定を組み込みやすく、“漏れの犯人”の特定→その場是正→再測定で仕上がりのブレを抑えやすい。
③ ディテールへの踏み込み度
・建売住宅:多棟での標準納まりを重視し、窓まわり・配管貫通・点検口などの処理は標準ディテール化。
・注文住宅:窓位置・サイズ・枠材から、枠と壁の気密取り合い、貫通部の集約まで、一邸ごとに最適化しやすい。
④ 換気の組み合わせ
・建売住宅:設計思想や価格帯に応じて第三種換気中心の計画も多い。
・注文住宅:第一種熱交換換気も選択肢に入れ、温度・湿度・清浄度を揃える前提でC値との相乗を狙いやすい。
⑤ 情報の残し方
・建売住宅:仕様書・性能等級が基礎資料。個別棟のC値測定書は用意の有無が分かれる。
・注文住宅:測定書・施工写真・納まり図など、“なぜ快適か”の根拠を一邸単位で整理しやすい。
⑥ 体感に出る違い(あくまで一般論)
・建売住宅:企画の平均値としての安定感。温度の立ち上がり・保ちやすさは仕様依存。
・注文住宅:C値の目標管理×是正が効き、立ち上がりの早さや温度ムラの小ささ、静けさに直結しやすい。
まとめの目安:C値は0.7〜0.5を狙えると、電気代・体感・静けさのバランスがよく、高崎の夏冬でも“同じ設定温度でラク”を感じやすくなります。注文住宅はその目標に合わせた設計・施工・測定を組み込みやすいのが強みです。
C値を底上げする“設計の順番”(注文住宅だからできること)
ステップ1:目標値の共有(性能のゴール設計)
最初の打合せで目標C値を宣言。窓のとり方・日射遮蔽・通風など体感事項と数値目標を同じテーブルで整理します。
ステップ2:図面で漏れを消す(先手のディテール)
・窓まわり:樹脂サッシ+適切なガラス構成、枠と壁の取り合いを気密テープ/シートで連続処理。
・基礎〜床〜壁〜天井:断熱と気密を切らさない“連続”が鉄則。
・貫通部:外壁を貫く穴は位置と数を計画的に集約。点検口・コンセントは気密型を選択。
ステップ3:施工途中で測る(現場で正解に寄せる)
中間測定→是正→再確認で、完成時の数値ブレを小さく。完成後に原因調査するより数倍効率的です。
ステップ4:完成時に“証拠”を残す
完成測定の結果は測定書として残せます。将来の改修・売却でも“説明できる家”は評価が安定します。
部位別・気密の要点
・窓
家の弱点になりやすい部位。枠材(樹脂)・ガラス構成と枠まわりの気密処理が要。
・玄関ドア
敷居・戸当たり・ガスケットの効きと鍵穴・ポスト口など小さな穴の扱いを丁寧に。
・天井・屋根
断熱材の継ぎ目・梁まわりを連続化。ダウンライトは気密型器具やボックスで漏気を防止。
・水まわり・換気
ダクトに逆止弁/ダンパー、点検口は気密パッキン。第一種熱交換換気なら温湿度のロスを抑えながら空気を入替え。
・後施工の注意
入居後のエアコン・通信配線など貫通工事は、“気密復旧”を必ず依頼。性能の落ち込みを未然に防げます。
よくある不安と答え
Q. 高気密だと乾燥しませんか?
A. 冬はどの家でも乾燥傾向。第一種熱交換換気なら排気の湿りを一部回収し過乾燥を緩和。加湿は50〜60%を目安に“やり過ぎない”。
Q. ストーブは使えますか?
A. 燃焼系暖房は非推奨(酸素消費・COのリスク)。エアコン×高断熱高気密で家全体を穏やかに温調するのが基本です。
Q. C値が良ければそれで十分?
A. いいえ。 UA値(断熱)×C値(気密)×換気が揃って、はじめて体感・電気代・静けさ・結露抑制が総合点で上がります。
Q. 吹抜や中庭は寒く(暑く)ならない?
A. 設計で両立可能。開口の位置・サイズ、日射遮蔽、熱容量(床・壁材)と空調計画を合わせれば、明るさと快適さは同時に手に入ります。
いちいホームの注文設計 —— 数字と体感を両立させる進め方
・UA×C×換気の設計思想
断熱等級6(HEAT20 G2)相当のUA値0.46(目安)を基準に、切れ目のない断熱と気密を大前提とした設計。樹脂サッシを軸に、第一種熱交換換気(温度・湿度・清浄度)まで視野に入れて“空気の質”を整えます。
・全棟での気密測定(中間+完成)
目標C値0.5以下をめざし、中間測定→是正→完成測定を徹底。図面どおりの性能を現場の是正力で実体化します。結果は測定書でお渡し可能です。
“わが家らしさ”と性能を同じテーブルで
1.暮らし方ヒアリング(動線・収納・在宅ワーク・子育て)
2.性能のすり合わせ(目標C値/UA値、窓・遮蔽・換気)
3.プラン提案と見える化(温湿度のイメージ、想定電力の傾向)
4.中間測定→是正→完成測定→引渡し
数字はむずかしいを、言葉と体感に置き換えるのが、いちいホームの役目です。
コストの見方——“少しの初期投資”が“長い快適”に効く
気密のための部材や手間は、毎日の光熱費・結露抑制・静けさとして住み始めてから効き続ける設備のような存在。“数字自慢”ではなく暮らしの質を上げる投資として、家計と体感の両面でリターンが返ってきます。
“説明できる家”は強い —— 記録と根拠の価値
測定書・施工写真・納まり図など、“なぜ快適なのか”の根拠を残すことは、将来の改修や売却のときの安心にもつながります。いちいホームは図面→現場→測定まで一気通貫で管理し、“説明できる家”をお届けします。
まとめ —— 高崎で「自然体で過ごせる温度と空気」を、注文設計で

・C値が小さい=すき間が少ない。空調が素直に効き、結露・騒音にも効く。
・建売と注文の違いは、目標設定・測定の扱い・ディテールへの踏み込みに現れる。注文住宅は**目標C値に向けて“設計→途中測定→是正→完成測定”**を組み込みやすい。
・UA×C×換気の三位一体で、高崎の夏冬・花粉期をまとめてラクにする。
・いちいホームはUA0.46(目安)×C0.5以下を目標に、数字と体感を両立。まずはモデルハウスで、「同じ設定温度でもラク」をそのまま体感してください。
付録|打合せで役立つ質問リスト(注文住宅編)
▢ 目標C値はどれくらい?中間測定と完成測定を行いますか?
▢ 窓の仕様(フレーム材・ガラス)と枠まわりの気密納まりは?
▢ 第一種熱交換換気のフィルターやメンテはどの程度?
▢ 後施工の気密復旧(エアコン・通信孔)はどう運用しますか?
▢ 測定書や現場写真の共有は可能ですか?