column 家づくりコラム

注文住宅を建てる資金計画|総額の決め方・諸費用と住宅ローン返済の目安

はじめに|「いくら借りられるか」より「無理なく返せるか」

 

 

家づくりを検討するとき、多くの方が

「自分たちの年収だと、どのくらいまでローンを組むのが適切か」
「建物代と土地代をどのような比率で配分するのがよいか」

といった点に不安や疑問を抱えやすいと言われています。

資金計画は、「いくらの家が買えるか」を決める作業ではありません。
家を建てたあとも、教育費や生活費に無理が出ないように、わが家に合った“予算の上限”を決める作業です。

 

そのためのポイントは、大きく3つあります。

 
 ① 家にかけられる総額の天井を決めること
 ② 建物・土地・外構・諸費用にどう配分するか考えること
 ③ 返済比率(返済が収入に占める割合)を、無理のない範囲に抑えること

 

この記事では、「資金計画の基本」と「予算の決め方」の整理とあわせて、家づくりの流れの中でどの場面でどのようなお金が必要になるのかを解説していきます。

 

 

1|まずは「総額」のイメージをつかむ

 

 1-1.家の費用は4つに分けて考える

  家づくりにかかるお金は、次の4つに分けると整理しやすくなります。

 

   ① 土地代

     土地本体の価格、仲介手数料、登記・測量費用など

   ② 建物代(本体工事)

     基礎・構造・屋根・外壁・内装、キッチンやお風呂などの住宅設備

   ③ 外構・付帯工事

     駐車場・アプローチ・庭・フェンス、地盤改良、給排水・電気の引き込み、エアコン・照明など

   ④ 諸費用

     ローン手数料・保証料、団体信用生命保険、登記費用、火災保険、引っ越し・仮住まいなど

 

  広告やチラシに出ているのは、多くの場合「建物代」の一部だけです。
  土地代や外構、諸費用はあとから加算されることが多く、「最初に聞いていた金額より数百万円高くなった」という話も珍しくありません。

  最初の段階から、家づくりにかかるお金をこの4つの合計=総額で考えることが、資金計画の第一歩です。

 

 

 1-2.建物価格だけにとらわれない

  見学会やインターネットで、「建物○○万円〜」「坪単価○○万円〜」といった数字を見ると、
  その金額だけで比べたくなります。

  しかし、同じ「建物○○万円」でも

   ・外構がほとんど含まれていない

   ・カーテンや照明、エアコンが別途になっている

   ・諸費用は含まれておらず、現金でまとまった支払いが必要になる

  といった違いがあります。

 

  大事なのは、「その金額に何がどこまで含まれているのか」を確認し、総額で比べることです。
  住宅会社ごとに、見積書の範囲や考え方も違うため、早い段階から「総額のイメージ」を持っておくと安心です。

 

 

2|3つの数字から「予算の天井」を決める

 

 総額は、次の3つの数字から逆算すると考えやすくなります。

 

  ① 毎月(とボーナス)の返済額の上限。
  ② 自己資金と、手元に残しておくお金とのバランス
  ③ 将来の教育費や老後資金を含めたライフプラン

 

 2-1.返済比率の目安は「手取りの20〜25%」

  住宅ローンの返済額は、手取り月収の20〜25%以内に収めるのが、一般的に「無理のないライン」と言われます。

  例えば、

   手取りが月25万円の場合、返済額の目安は月5〜6万円台。
   手取りが月35万円なら、返済額の目安は月7〜8万円台になります。

  ボーナスは、景気や会社の状況で増減する可能性があります。
  そのため、ボーナス返済はあまり頼りすぎず、
  「ボーナスがなくても家計が回るかどうか」を基準に考えておくと安心です。

 

 2-2.自己資金と「生活防衛費」を分けて考える

  自己資金(貯金など)は、すべてを頭金に入れれば良いわけではありません。

  家づくりの前後には、

   ・引っ越し費用

   ・家具・家電・カーテン・インターネット工事

   ・当面の生活費(半年〜1年分)

   ・子どもの進学や習い事の費用

  といった支出も必要になります。

  ここに加えて、病気・ケガ・失業など「もしも」のときに備えるための生活防衛費も、ある程度残しておきたいところです。

  そのため、自己資金は

   ① 頭金や諸費用として使う分

   ② 生活防衛費として残しておく分

の2つに分けて考え、「頭金はいくらまでなら出しても大丈夫か」を夫婦で共有しておくことが大切です。

 

 2-3.教育費のピークもあらかじめ意識する

  30〜40代で家を建てると、住宅ローンの返済と、子どもの高校・大学の教育費のピークが重なりやすくなります。

  高校・大学の学費や受験費用に加え、塾や習い事、部活の遠征費なども含めると、一人あたり数百万円単位になることも少なくありません。

  そのため、資金計画を考えるときには、

   ・上のお子さんが高校に入る頃のローン残高と返済額

   ・大学進学時に、どのくらいの貯蓄を残しておきたいか

  といった将来のタイミングも、ざっくりで構わないので意識しておくと、返済比率を少し低めに抑える意味が見えてきます。

 

 

3|高崎エリアで考えたい“地域ならでは”のコスト

 

 3-1.車社会ならではの「交通費+駐車場」

  高崎市や前橋市周辺では、通勤・通学・買い物に車が欠かせないご家庭が多く、夫婦それぞれが一台ずつ車を持つケースも珍しくありません。

  その分、車の維持費(ガソリン・保険・車検など)に加えて、駐車スペースの確保にもお金がかかります。
  将来、お子さんが免許を取得する可能性まで含めると、2〜3台分の駐車スペースを考えるご家庭も多くなります。

  土地を選ぶときには、「車をどこにどのように停めるか」「玄関までの距離や動線はどうか」といった点もふまえ、土地・建物・外構をセットで検討することが、日々の暮らしやすさにつながります。

 

 3-2.光熱費を“性能と設計”で抑える

  群馬の気候は、冬の冷え込みと夏の日差しの強さがどちらも厳しく、エアコンの使用時間も長くなりがちです。
  そのため、断熱性能・気密性能・窓の計画・日射遮蔽・通風計画といった家の性能や設計が、光熱費に大きく影響します。

  初期費用だけを見ると、「性能を少し落として建築費を下げる」という選択肢もありますが、暖房費・冷房費が高くなれば、トータルの住居費(ローン+光熱費)」が重くなる可能性があります。

  資金計画では、月々のローン返済だけでなく、光熱費や固定資産税も含めた「毎月の住居にかかるお金」を、長い目で見て検討することが重要です。

 

 

4|見落としがちな「諸費用」とその目安

 

 4-1.購入時にかかる主な諸費用

  注文住宅の諸費用には、次のようなものがあります。

 

区分 主な内容の例
 登記・税金関係  所有権移転・保存、抵当権設定の登記費用、不動産取得税、印紙税など
 ローン関連費用  事務手数料、保証料、団体信用生命保険(団信)の保険料など
 保険関係  火災保険、地震保険
 不動産関係  土地を不動産会社経由で購入する場合の仲介手数料など
 その他  引っ越し費用、仮住まい費用、地鎮祭・上棟式の費用など

 

 一般的には、総額の5〜10%程度が諸費用になることが多いと言われます。
 総額4,000万円の計画なら、おおよそ200〜400万円前後が目安です。

 これらは現金での支払いが必要になるケースも多いため、
 頭金とは別に「諸費用用の資金」として準備しておくと安心です。

 

 4-2.引き渡し後にかかるお金も忘れずに

  家の引き渡し後にも、次のようなお金が必要になります。

   ・カーテンや照明器具、エアコン

   ・物置やカーポートなどの追加工事

   ・インターネットや防犯設備の工事

   ・ご近所へのご挨拶の品

  こうした費用も含めて考えると、
  「諸費用+引き渡し後費用」で、総額の10〜12%程度を見込んでおくと、資金計画にゆとりが生まれます。

 

 

5|住宅ローンの基本と「続けやすい組み方」

 

 5-1.返済期間は「長く組んで、短く返す」

  住宅ローンの返済期間は、35年を選ぶ方が多くなっています。
  期間を短く設定すると、総支払額は減る一方で、毎月の返済額は大きくなります。
  逆に、期間を長くすると、毎月の返済額は抑えられますが、利息が増えるため、総支払額は多くなります。

  おすすめの考え方は、「まずは35年で組み、余裕が出てきたら少しずつ繰り上げ返済で期間を短くしていく」というものです。
  最初から返済額をギリギリに設定してしまうと、繰り上げ返済どころか、日々の生活も苦しくなってしまいます。

 

 5-2.金利タイプの考え方(変動・固定・ミックス)

  住宅ローンの金利タイプは、大きく三つに分かれます。

 

   ① 半年ごとに金利が見直される「変動金利型
    当初の金利は低めですが、将来金利が上がると返済額も増える可能性があります。

   ② 返済期間中ずっと金利が変わらない「固定金利型
    変動型に比べて金利は高めですが、返済額が一定なので家計の見通しが立てやすいというメリットがあります。

   ③ 一定期間だけ金利が固定される「固定期間選択型
    たとえば10年間は固定で、その後は変動に切り替えるか、再度固定を選び直すといった仕組みです。

 

  どれが正解ということはありませんが、家計にゆとりがあまりない場合は、固定金利や固定期間選択型を多めにするなど、安心感を優先した選び方も有効です。

 

 5-3.ボーナス返済と繰り上げ返済のバランス

  ボーナス返済を多く設定すると、毎月の返済額は減りますが、
  ボーナスが減った年に一気に家計が苦しくなるリスクがあります。
  転職や育休などでボーナスが変動する可能性も考えると、
  ボーナス返済はゼロ、もしくは少なめに抑えておくほうが安心です。

  一方で繰り上げ返済は、生活防衛費と教育費の貯蓄を確保したうえで、
  余裕資金ができたタイミングで少しずつ行うと、総支払額を減らすことができます。
  焦らずに、「無理のない範囲でコツコツ返す」というイメージで考えると良いでしょう。

 

 

6|子育て世帯が「安心して続けられる」資金計画のコツ

 

 

 6-1.「理想の家」より「続けられる暮らし」

  打ち合わせが進むと、収納を増やしたくなったり、キッチンのグレードを上げたくなったり、ウッドデッキや中庭も欲しくなったりと、やりたいことが次々と出てきます。

  どれも大切なご要望ですが、「いま欲しいもの」だけで決めてしまうと、後から家計に無理が出てしまうことがあります。

  そこで役に立つのが、要望を3つのグループに分ける考え方です。

 

   ① どうしても叶えたいこと
   ② できれば叶えたいが、間取りや仕様の工夫で調整できること
   ③ 将来のリフォームやDIYでも対応できること

 

  このように整理しておくと、予算とのバランスをとりながら、「わが家にとって本当に大切な部分」から順番に実現していくことができます。

 

 6-2.教育費・老後資金とのバランス

  子どもが2〜3人いるご家庭では、教育費だけでも相当な額になります。
  そこに自分たちの老後資金も加えると、「住宅にお金をかけすぎて、他の部分がまったく貯められない」という状況は避けたいところです。

  資金計画を立てるときには、「今の生活が苦しくないこと」に加えて、「10年後・20年後にも選択肢が残っているかどうか」を意識しておくと、家づくりと教育費・老後資金のバランスが取りやすくなります。

 

 

7|ステップ別:自分たちの予算を出してみる

 

最後に、ご夫婦でできる「かんたん予算ワーク」をステップごとにご紹介します。

 

 Step1|家計の現状をざっくり把握する

  まず、直近3か月分の家計を振り返り、平均的な生活費を確認します。
  その中で、固定費(通信費・保険料・サブスクなど)がどのくらいを占めているかもチェックしておくと、今後の見直しポイントが見えやすくなります。

 

 Step2|無理なく払える返済額を決める

  次に、手取り月収に対して20〜25%を掛け合わせ、無理なく払える返済額の目安を出します。
  賃貸にお住まいの場合は、現在の家賃と比べながら、「この金額なら続けていけそうだ」と思えるラインを話し合います。

 

 Step3|総額の“天井”を設定する

  最後に、金融機関のシミュレーションや事前審査を利用して、借入可能額の目安を確認します。
  その金額に自己資金(頭金)を足し合わせたものが、「わが家の総額の天井」です。

  この総額をもとに、配分のイメージをつくっていきます。

 

ケース 土地 建物 外構 諸費用
外構をしっかりとりたい 4 4 1.5 0.5
建物の性能・仕様を重視したい 3 5 1 1

 

 

まとめ|「払える金額」ではなく「ラクに続く計画」を

 

家を建てるときの資金計画は、単に「いくら借りられるか」を決めるためのものではありません。
教育費や老後資金、将来の暮らし方も含めて、「どんな暮らしなら長く安心して続けられるか」を考えるための土台です。

そのために、

 ・家にかかる費用を「土地・建物・外構・諸費用」の四つに分けて総額で把握すること  

 ・返済比率を手取りの20〜25%程度に抑えること

 ・頭金を入れすぎず、生活防衛費と教育費の貯蓄をしっかり残しておくこと

 ・高崎エリアならではの車社会・気候・外構計画も含めて、住居費全体で考えること

といった視点が役に立ちます。

数字の話はどうしても難しく感じますが、「わが家の場合はどうか」を一緒に整理していくことで、不安は少しずつ小さくなっていきます。

 

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